皆さんは健康維持のためにどんなことを心がけていますか?
定期的に軽い運動をおこなう、食べるものに気を遣う、規則正しい生活リズムを意識する、など、いろいろな工夫を挙げることができるでしょう。
しかし、そうした工夫を継続するのはなかなか難しいですよね。
そこで、とても簡単な健康習慣から始めてみることをおすすめします。
それは、一杯の紅茶を飲んでみること。
意外かもしれませんが、実は紅茶には、さまざまな体に良い成分が含まれているといわれています。
加えて、美容の面でもメリットが多く、女性には嬉しいところです。
それに、紅茶を飲むということは運動などと違って、毎日の習慣として気楽に続けやすいですよね。
今回は、紅茶が健康・美容に与える良い影響についてまとめました。
これを読めば、きっと紅茶がいかにスーパードリンクであるかがわかるはずです。
初めてヨーロッパに伝わった16世紀ころ、紅茶は薬であると考えられていたようです。
また、17世紀にイギリスで一般向けの販売が始まったときにも、紅茶の薬効が広く世間で認められていたといわれています。
このように、数百年前から薬としての効能が認められている紅茶ですが、具体的にはどのような成分を含んでいるのでしょうか?
代表的なものをいくつか紹介します。
【タンニン】
紅茶のほか、日本茶や中国茶、ワインなどにも含まれている植物由来の成分です。
タンニンという名称は、「革をなめす」という意味の英語「tan」に由来しています。
抗酸化作用や、血液をかたまりにくくする作用が期待されています。
なお、お茶に含まれるタンニンは「カテキン」と呼ばれることもあります。
【カフェイン】
コーヒーに含まれることでもおなじみのカフェイン。
覚醒作用によって、夜眠れなくなるなどのデメリットが知られていますが、疲労回復や新陳代謝を促すといったプラスの効果もあるといわれています。
【テアニン】
紅茶のうまみや甘みのもととなる成分で、アミノ酸の一種です。
上等なお茶に多く含まれていることが多くなっています。
気分をリラックスさせ、睡眠の質を向上させる効果があります。
【カリウム】
筋肉の収縮や弛緩を助け、老廃物の排出を促す作用があります。
紅茶にはほかにも、フッ素、ビタミンB群、カロテンなど、さまざまな成分が含まれています。
また、これらの成分の中でタンニン・カフェイン・テアニンの3つを「紅茶の三大成分」と呼ぶこともあります。
では、紅茶に含まれるこういった成分が体に与える好影響について、詳しくみていきましょう。
いざダイエットを始めようとしたときに、食事制限や置き換えなどは、少しハードルが高いと感じたことはありませんか?
目標や期間にもよりますが、初めてのダイエットであれば、なるべくいつもの生活スタイルを変えずに、無理なく始めたいですよね。
そんなときの心強い味方としておすすめしたいのが、紅茶なのです。
紅茶に含まれるタンニンやカフェインは、皮下脂肪の燃焼を促す働きがあるといわれています。
運動の前に紅茶を飲むと、筋肉や肝臓に貯蔵されているエネルギー源のグリコーゲンよりも先に脂肪を燃焼させさせ始めるため、体力温存もでき一石二鳥です。
また、同じく紅茶に含まれるカリウムは利尿作用によって体内の老廃物を外に出したり、便秘を解消したりといった効果も期待できます。
こうした「ダイエットティー」としての効果を、ぜひ活用してみてください。
ただし、紅茶を飲んでいるとついつい甘いものに手が伸びたり、ミルクや砂糖を加えたくなったりしてしまうもの。
もともと紅茶は脂分の多いケーキや焼き菓子と相性が良い飲み物です。
ダイエット中は、紅茶のお供のスイーツは食べ過ぎないように気をつけましょう。
市販の紅茶も加糖の場合は多量の砂糖が入っている可能性があるため、できるだけストレートティーを選ぶようにしましょう。
紅茶は、多くの人が悩まされている深刻な病気の予防に役立つともいわれています。
その最たるものが、中年の働き盛り世代を中心とし、今や若者にも罹患者を増やしている生活習慣病です。
生活習慣病は、がん、脳卒中、高血圧、糖尿病、心疾患などを含み、「成人病」とも呼ばれてきました。
2012年の生活習慣病による世界の年間死亡数は3,600万人に達しており、2030年には5,500万人に増加する見通しです。
この数字からもわかるように、生活習慣病は年々、世界規模で深刻化していっています。
しかし、これらの病気は生活習慣の改善により予防が可能だといわれており、紅茶にはその手助けをする効果が期待できます。
紅茶に含まれるタンニンは、生活習慣病のもととなる活性酸素から、細胞を保護する働き(抗酸化作用)を持っています。
また、紅茶フラボノイド(ポリフェノールの一種)には、血中コレステロールを抑制したり、血糖の上昇を抑えたりする働きがあります。
健康診断の結果が気になる方は、まず紅茶を日々の食卓に取り入れるところから始めてみてはいかがでしょうか?
紅茶は、生活習慣病に分類される深刻な病気ばかりに効果が期待できるわけではありません。
インフルエンザや風邪など、誰もが日常生活の中でかかる可能性のある病気に対しても、効果的だと考えられているのです。
まず、紅茶に含まれるテアフラビンやカテキンは、インフルエンザウイルスの活動・増殖を抑える効果があるとされています。
ただし効果が期待できるのは予防の段階においてであり、ウイルスが細胞内に入ってしまったときは別の対処法を検討することが推奨されています。
また、インフルエンザだけではなく、下痢や食中毒に対しても紅茶は効果があると考えられています。
タンニンには、細菌性食中毒の原因となるサルモネラ菌、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオなどの病原菌を死滅させる効果があるといわれています。
なお、タンニンが含まれる飲み物でも、ボツリヌス菌に対する殺菌効果は、緑茶より紅茶のほうが強いといわれています。
風邪予防のためには、タンニンの消毒・殺菌作用を活かして、紅茶でうがいをおこなうのも効果的です。
もし風邪をひいてしまったときは、あたたかい紅茶を飲みながら休養をとるようにしてみましょう。
また紅茶は、精神面においても好ましい作用が期待できます。
紅茶に含まれるテアニンは、血圧を下げ、気持ちを落ち着かせリラックスさせる効果があります。
また、ハーブティーであればその種類に応じてさまざまな効果を見込めます。
代表的なハーブティーの種類と特徴、効能は次の通りです。
【ラベンダー】
気分を落ち着かせる作用があります。
独特の強い香りが苦手な場合は、薄めに淹れるとよいでしょう。
アイピローにすれば目の疲れを癒す効果も期待できます。
【ローズマリー】
頭をすっきりとさせ、集中力や記憶力を高める作用があるといわれています。
低血圧で朝がつらい方は、起きがけに飲むことをおすすめします。
【オレンジピール】
寝つきをよくする作用があるといわれており、眠れない夜に飲むのがおすすめです。
また、胃腸の調子を整える働きもあります。
【カモミール】
不安や緊張、イライラを鎮める効果が期待できます。
さらに、発汗・保湿作用もあります。
ただし、紅茶やハーブティーは飲み過ぎが逆効果を招く場合もあります。
効果が感じられないからと多量に飲むのは避けましょう。
また、ラベンダーやカモミールは、生理痛など女性特有の悩みに一定の効果があるといわれていますが、妊娠中の方は摂取量を控えめにしましょう。
食べ物や飲み物は歯や口内環境の敵……そんな風に思っていませんか?
実は紅茶は、虫歯や歯周病を防ぎ、口臭をケアする働きも期待できるのです。
まず、わずかながら紅茶に含まれるフッ素。
これは歯磨き粉にも使われている成分で、歯のエナメル質を守る効果があります。
また、タンニンは殺菌・抗菌作用があるため、口の中の細菌類が繁殖するのを抑制し、虫歯菌や歯槽膿漏を防ぎます。
加えてタンニンとテアフラビンは、歯垢を歯に付着しにくくする効果があるといわれています。
歯垢は糖を原料として酸をつくり、歯をもろくする作用があるため、歯垢の付着を防ぐことは虫歯の予防につながります。
さらに紅茶は、口臭の原因である「メチルメルカプタン」という、ガスを抑制する力が、お湯と比べて約6倍あると認められています。
これは、紅茶フラボノイドによる効果です。
このように紅茶には、口の中もキレイに保つ役割が期待できるのです。
ただし、紅茶を飲めば必ず虫歯を防げるというわけではありません。
食後の歯磨きなど日常のケアもしっかりおこないながら、プラスアルファとして取り入れるようにしてみてください。
紅茶は含有成分のもつ抗酸化作用などから、美容にも効果的だというのは皆さんご存じかと思います。
肌トラブルの改善のために飲んでいるという方も多いでしょう。
アレルギー性皮膚炎やニキビ、乾燥肌など、肌のトラブルにもさまざまなものがありますが、なかにはちょっと周りに相談しにくい悩みもありますよね。
その代表ともいえるのが、「水虫」です。
水虫の症状に人知れず悩んでいるという方も少なくないのではないでしょうか?
一般的に知られている水虫対処法のひとつとして、洗面器などの容器にお湯を張り、お酢を溶かして足を浸けるというものがあります。
これは一定の効果があるといわれていますが、お酢のツンとしたニオイが気になって試すのをためらう方もいらっしゃると思います。
そこでご紹介したいのが、紅茶を使った水虫予防対策です。
水虫の原因となるカビの一種「白癬菌」には、紅茶に含まれるテアフラビンが効果的だと考えられています。
水虫対策としては、煮出した紅茶を洗面器などの容器に入れ、そこに足を浸ける方法や、紅茶風呂に入る方法、患部に直接紅茶を塗布する方法などがあります。
お酢などに比べ、ニオイの心配などもなく、試しやすいのではないでしょうか。
ぜひ、ご自宅でなるべく手間のかからない方法を試してみてください。
その際、熱湯によるやけどには十分注意するようにしましょう。
ここまでご紹介してきたように、紅茶にはさまざまな健康・美容への効果が期待できます。
では最後に、そんな紅茶の良さを最大限引き出すための淹れ方・飲み方のコツを2点ご紹介します。
【1】淹れるときは必ず「フタをして蒸らす」
カップやティーポットに茶葉やティーバッグを入れ、お湯を注いでしばらく待つ……。
これが紅茶の基本的な入れ方ですが、お茶が抽出されるまでの間に。フタをして蒸らしておくことが実は非常に何より重要なのです。
その理由は、お茶の持つ成分や香りを逃さないため。
フタやティーポットが透明だと、お湯を入れてしばらく経つと内側に水滴がつくのがわかるかと思います。
この水滴は、お湯に溶けたお茶の香りや成分が蒸発し、再び凝縮して水となったものです。
これを余さずいただくことこそ、紅茶の良さを最大限取り入れるための欠かせない工夫なのです。
【2】ブレンドして飲む
ハーブティーの場合、目的に応じて複数の種類のハーブを混ぜて抽出し、オリジナルのお茶を淹れることができます。
ブレンドするときのコツは、「味の中心となるハーブに、ほかのハーブを足すようにする」と「花や葉を多く、実や根の部分は少な目に混ぜる」こと。
初心者であれば、3種類くらいから試してみるのがよいでしょう。
以下が、効能別のブレンドの例です。ぜひ、試してみてくださいね。
朝気持ちよく目覚める:レモンバーム・ペパーミント・ローズマリーなど
不安・疲労回復:ローズヒップ・ハイビスカス・レモンマートルなど
集中力アップ:レモングラス・ローズマリー・タイムなど
いかがでしたでしょうか?
紅茶がスーパードリンクである理由を理解していただけたのではないでしょうか?
味を楽しむことはもちろんですが、簡単に取り入れられる健康・美容習慣アイテムとしても、ぜひ紅茶を飲んでみてください。
なお、今回紹介したような効果・効能は人により異なることがありますので、その点のみ、くれぐれもご了承ください。
ここでお伝えしたような紅茶にまつわる豆知識が、皆さんの健やかな生活の一助となれば幸いです。